日本の不妊治療をとりまく現状

日本において、近年、女性の社会進出やライフスタイルの多様化等を背景に、晩婚化が進行しています。2020年の人口動態統計では、平均初婚年齢は、男性が31.0歳、女性が29.4歳となっており、25年前と比べて男性で2.6歳、女性で3.1歳上昇しています。

また、同調査において、女性の第一子出産時の平均年齢は30.7歳で、統計が取られ始めてから一貫して上がり続けています。一般的に女性は、年齢と共に妊娠のしやすさである妊孕性が低下するとされており、晩婚化は少子化の原因の一つとなっています。
このような背景もあり、近年、日本では不妊治療の件数が増加しており、2017年には、全国で約56,000人の新生児が体外受精によって誕生しています。これは、同年の全新生児の約6%を占めています。
直近では、2020年5月29日に、2025年までの子育て支援の指針となる少子化社会対策大綱が閣議決定されました。

この中で、「希望出生率1.8」の実現に向けて、希望するタイミングで希望する数の子どもを持てる社会を目指すことが謳われています。さらに、具体的な政策については、「不妊治療に係る経済的負担の軽減等」として、費用助成を行うことに加えて、適応症と効果が明らかな治療に対しては広く医療保険の適用の在り方を含めて、不妊治療の経済的負担の軽減を図る方策等についての検討のための調査研究を行うということが明記されました。
こうしたことを踏まえて、2022年4月から、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」について、保険適用となりました。
これは、日本生殖医学会が国内で行われている生殖補助医療及び一般不妊治療の各医療技術について有効性等のエビデンスレベルの評価を行い、取りまとめた生殖医療ガイドライン等を踏まえたものです。
「生殖補助医療」については、採卵から胚移植に至るまでの一連の基本的な診療は全て保険適用され、患者の状態等に応じ追加的に実施される可能性のある治療等のうち、先進医療に位置付けられたものについては、保険診療と併用可能となりました。

(厚生労働省発表「諸外国における不妊治療に対する経済的支援等に関する調査研究報告書」より)

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